こんにちは。Wen-Do Japanの福多唯です。
Wen-Doのワークショップで教育のためのTOCを活用している事例について
発表させていただきました。
発表までには大勢の方々にお世話になりました。本当にありがとうございました。
「福多さんが開発なさった、あの問いかけの言葉づかいなどについても、
もっと多くのかたに知ってもらう価値があると思います」
開発だなんてとんでもないことなのですが、でもそう言っていただけると嬉しい!
そんなに特別なことじゃなかったんですが。
上記のように言ってもらえたのは、発表スライドで言うと、こんな↓ことでした。
『…っていうのは?』
知ってしまえばなんて事のない、ちょっとしたセリフも、
馴染みがなければ思いつくことすらないものです。
「どう尋ねたらいいのだろう。
『どういう意味ですか?』とか『もっとわかるように言って?』じゃキツイし…」と
戸惑うことが度々だった人にとって、
この、『…っていうのは?』には、おお〜!ってなるのかもしれないですね。
質問って、ある意味凶器です。
だから躊躇してしまう。
「あなたは、本当は、どうしたいの?」とか。
「あなたにとって、一番大切なことは何?」とか。
例えば私は上記のような質問が安易に出てくるとげんなりしてしまうので、
自分がそれを尋ねたい場面でも、躊躇していた時期がありました。
その躊躇は、以下の3つの視点で整理整頓してきました。
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〜質問にためらうとき〜
問いかけのセリフが無理なく定まる3つの視点
1、質問や問いは、誰のために、どんなときに使うのか
=私の内側に、何か、はっきりさせたいこと(疑問、モヤモヤ、わからない点)があるのだ、という意識で
質問や問いを使う
2、『私の懸念(もやもや、わからなさ)』は、相手や場と、共有される必要があるのかどうか
=相手や他者の答え(意見、思い、知識)が必要な時と、
さほど必要ではない時とがある
→ 会議・ミーティングなどでは共有が重要なこともある
生徒・受講生の立場のときにも、講師と、そして他の受講生との共有が必要なことがある
→上記以外の場では場に応じて考える
(共有が必須ではない場も多い)
3、適切な伝達スタイルは、どのようなものか
=相手や他者が答えやすいスタイルで質問や懸念を表明する
→共有の重要度の高い場ではその場で明確に切り出して懸念(もやもや)を共有する
→伝わらなくても問題ない場では独り言スタイルや「やわらか枕詞」を使う
(相手が受け止めて答えてくれればラッキー♪程度にする)
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1, 質問や問いは、誰のために、どんなときに使うのか
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質問や問いは、以下の条件が揃ってはじめて使うことができます。
a.私の内側に、何か、はっきりさせたいこと(疑問、モヤモヤ、わからない点)がある。
かつ、それについて
b.相手や他者の答え(意見、思い、知識)が私には必要だ。
かつ、それについて
c.相手や他者が、答えてくれるであろうと期待できる。
他者に気づきを強いる類の問いは、私は、あまり好きじゃありません。
私にとって、質問や言葉を使う出発点は、あくまでも、
a.私の内側に、何か、はっきりさせたいこと(疑問、モヤモヤ、わからない点)がある。
なので、
質問を発したくなったときに、
第一段階として私が押さえるのは、
《私の懸念を解消するために、他者に質問や問いを発しようとしているのだ》です。
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2, 『私の懸念(もやもや、わからなさ)』は、相手や場と、共有される必要があるのかどうか
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第2段階では、
《b.相手や他者の答え(意見、思い、知識)が必要だと感じられる。》
について判断します。
相手や他者の答えが、私にとって必要だ、と感じられる場合、
私の懸念は相手に共有される必要がある、ということなので、
こちらの思い=懸念は明確にして、質問や問いとして発信します。
たとえば、何かの事業を共に進める仲間での会議で、
私の中に、《何かはっきりさせたいこと(疑問、モヤモヤ、わからない点)》が出てきたときとか。
他にも、誰かに何かを教えてもらっている場面=相手が先生で私が生徒のときに、
わからないことが出てきて、
先生への質問という手段が重みを持つ場合とか。
逆に、落ち着いて考えてみると、
私の懸念が相手と共有されなくても大した問題ではない場面も日常には多いです。
誰かの悩みや愚痴を聞いているときなどに、
『なぜそのことにそんなにこだわりたくなるのかなあ…』
『さっき言ってたアレはどうなったんだろう…』って思いが湧いてくるときとか。
『…まいっか。本人がいいなら』で済ませられることなら、
私にとって相手の答えの必要度は高くはないなと判断します。
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3, 適切な伝達スタイルは、どのようなものか
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私の懸念が共有される必要があるのかどうかがわかれば、
《c.相手や他者が、答えてくれるであろうと期待できる状況》づくりについても
スタイルが無理なく決まってきます。
会議で私の中に懸念や疑問が湧いたのなら、例えば以下のような感じ。
「さきほどの●●さんのご提案を拝聴して、
みなさんと一緒に検討したい点がひとつ浮かんできました。
どなたかご存知なら教えてください。…」
皆の意識が私の懸念事項に向きやすくなり、
それについて考えたり答えたりする作業を皆がスルーできなくなる、
明確な質問や問いのスタイルを選ぶことを考えます。
(言葉遣いは相手との関係性によるのですけれど)
誰かに何かを教えてもらっている場面ならば、
「◯◯という言葉は、どういう意味なのでしょうか?」
「さきほど先生が『〜〜なので……です』と話した部分、
私にはそのつながりがピンと来ないので、もう少し教えていただけますか」
など、何がわからないのかが伝わるように明確な質問や問いのスタイルを選ぶことが、
相手=先生に答えやすい状況を作ることになります。
逆に、私の懸念が共有される必要度の低い場面、
=友人知人のおしゃべりを聞いているときとか、
悩み相談を受けているときとか、
誰かの悩みがなりゆきで表出されるようなグループワークなどの場では、
質問や問いの発し方は弱く、でも対話は継続するように、
相手が自由に考え発言しやすくなる質問スタイルを選びます。
具体的には、私がやっていることを分類してみたら3種になりました。
1種類めは、優しく背中を押す感じのセリフ。
「…というと?」「っていうのは?」などで相手のさらなる発言を促すのがそれにあたります。
(『さっきの×××って意味がいまいちわからないな…』などの思いが私の内側にもわもわーんと浮かんできたとき)
2種類めは、「あたかも独り言」な問いかけ。
「その、×××っていうのが興味深いなあ」
「その、×××についてもっと聞かせてほしいな〜!」
(前述したものと同じく、意味がいまひとつわからないときとか、
さらに詳しく聞かないとなんとも言えないようなときなど)
「それって、誰にでも同じくそうなのかなあ…?」
(『この人にとってはその出来事はそう見えるのかもしれないけれど、
別の角度から見てみたらどうなんだろう…』と聞いてみたいとき)
「それって、いつもかならずそうなるのかなあ…?」
(『この人はそうなのだと強く言っているけれど、
そうではない時もありそうな気がするなあ…』とモヤモヤがあるとき)
「へえ〜!
それだけでそうなるならすごいね! そこはどうなんだろう?!」
(『この人はAをすればBになるって言っているけど、
実は他の要素も揃わないと、Bの結果にはならないんじゃないかな』なとき)
相手がこちらの言葉を受け取ってくれることもあれば、
スルーされて話が展開していくこともあります(笑)。
元の話の主体は相手なので、どちらに展開しても問題はありません。
3種類めは、質問や問いにいきなり入る前に、
相手が、自由な気持ちで考えたり答えたりできるように「やわらか枕詞」をつける方法です。
「もし的外れだったら、何か違う感じがするなーって教えていただきたいんですけど…」
「もし答えたくなかったら教えてくださいね。さっきの××っていうのは…」
「もし面白そうだと思えるなら、これを考えてみたらどうかなって思うことがあるのだけれど…」
『問うー問われる』のやりとりが生じると、
そのふたりの関係性は、『質問する人-答えなければならない人』となり、
一時的だとしても対等性が崩れやすくなりますから、
尋ねる前に「やわらか枕詞」で先に調整しておくのです。
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北陸は報道されているように大雪です。
大学進学以来30年ほど石川県に住み続けて、町がこんなことになったのははじめて…。
それで、2月の3連休に予定していたCLDエキスパート認定コースも
日を改めて、秋での開催となりました。
CLDエキスパート認定コースでは、今回のような、質問のスタイルについても学びます。
人のエンパワーに伴走できる人になるためにも、
自分のエンパワーを促進できる私になるためにも、
自分の中で適切な問いを立てられる力って、重要です。
ご興味ありましたらいつでもご連絡ください。