アメリカやカナダで使用されている緊急通報用の電話番号、911.
「はい、911、緊急ですね。場所は?」
『表通り123番地です』
「どうなさいましたか」
『ピザの配達をお願いしたいのですが』
「(またいたずら電話か…)
もしもし、あなたがおかけなのは911です」
『ええ、そうですね。
ペパロニのラージピザ、それと、キノコとトウガラシのハーフアンドハーフで』
「えーっと……、すみませんが、911にかけているのをご承知ですか?」
『ええ。到着まで、どのくらいかかりますか?』
「本当に大丈夫ですか? 緊急事態、ですよね?」
『そうなんです』
「(あ!っと思い)誰かがそこにいて、それ以上は話せないんですね?」
『ええ、それで合ってます。到着まで、どのくらい時間がかかるかわかりますか?」
「そちらまで約1マイルの警官に直ちに連絡します。あなたの家には銃や武器はありますか?」
『いいえ』
「このまま受話器を置かずに会話を続けることは?」
『いいえ。それでは、よろしく』
そのあとオペレーターがこの通報を処理する際に、この地番からの緊急通報歴を確認したら、
以前にも複数のDV通報履歴があることがわかりました。
警官が急いでかけつけると、ひどく暴行された女性と、泥酔した男性がいたそうです。
オペレーターは、この電話にはなぜだか直観的にいたずらではないと感じたそうです。
* * * * *
こうした話を聴いたときに、
すごいな〜と感動の思いがわいてくるのと同時に、
《でも、世の中、そんなに敏感にちゃんと察知してくれるような人ばかりじゃないし…》と
なんていうかな…
過去の、満たされていないガッカリ感が、頭をもたげてきちゃうこともあるかもしれません。
私も割と、そういうところがあります。
以前にある講座でご一緒した女性は、DVにあったことがあり、
同居時代に大変だったご自身のお話をしてくださいました。
そのときの彼女のお話が、【気づいてくれる人はいる】希望につながるなあと思ったので、
併せてご紹介します。
*個人が特定できないように、細部を変えて、
でもお話の筋書きは変わらないようにしています。
* * * * *
彼女の当時の家は、塀がとくにない一軒家で、
ある日の早朝、ガシャンという大きな音がしたので見に行くと、
どうやら道路から誰かの車が敷地内につっこんで来て、
彼女の家の自転車数台に当てて、損壊し、当て逃げしていった様子。
まだ5時頃だったので、朝食を終えてから警察に届けに行こう…と彼女は考えたのだけれど、
事態に激怒した夫は、今すぐ警察に届出をしに行け!!
交番なんかダメだ、ちゃんと警察本部まで行け!!!と彼女に怒鳴り、
殴り掛かりそうな勢いです。
仕方なく彼女が早朝に警察本部に行き、自転車当て逃げの件の届出をして、
警察に、こんな早朝にこの届出をしにきたことを詫びると、
(彼女としては、常識的な時間帯に届出をしたかったところを
夫の命令と脅しで仕方なく…な気持ちがおありですから、
つい、そのあたりも口にしたくなってしまったのかもしれません)
届出を受け付けたベテランの高齢の警察官が
「もしかして、…とうちゃんにかなりやられてるんじゃないか?
DVとかないか? 怪我はしてないか?
とうちゃんが警察へ行け!って言った今回みたいな機会こそ、
警察に来ても怪しまれないチャンスだ。
あんしん生活課でも話聞くから」
となったそうです。
このお話をしてくださったかたは、
あのときに気づいてもらえて本当に嬉しかったと話していらっしゃいました。
常に期待通りに事が展開するという保証は、誰にもないけど、
行動と出会いによって、こうした展開に遭遇できる可能性はあがる。
そう思えたお話でした。
*写真は、ハロウィンなので。
北海道、ニセコの、ノーザンリゾートアンヌプリのフロントです。