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女性支援

受動的攻撃癖をなおしたい!

こんにちは。Wen-Do Japanの福多唯です。

この記事は前回の続きとして書いています。前回の記事はこちらにて。

さていよいよ、受動的攻撃です。

されることもあれば、してしまうこともあり、とても身近で他人事ではないこの意地悪な行為。
ついやっちゃって…と自己嫌悪に陥ったり、
もっと別のやりかたがあるだろうに…と考えたりするかたも多いかと思います。


受動的攻撃をしてしまう自分に気づいてしまったら、
どのようにして別の言い方ややり方に出会えばいいのでしょう。
私がやっている方法をご紹介します。


……………………………………………………………………………………

食事中に、夫から「ビールとってきて」と当然のように言われる。
 そのくらい自分でして欲しい…と思うけれどそのひとことが言えない私。
 「ああ、うん。ビールね」と答えながらも、
 子どもに『あ!そういえば、学校でのあの件、どうなった?』と話しかけて、
 子どもと会話をはじめて見せて、ビールを取りに行かずに時間を稼ぐ。
 そうやっているうちに、夫が(哀しそうに)自分で取りに行く。
……………………………………………………………………………………
(*個人の特定を防ぐために、細部は実際のエピソードとは変えています。)


このエピソードを聞かせてくださったかたは、
「もっと別の対応が出来ればいいのに…と自分でも思うんです」とおっしゃいました。

どのようにしたら別の対応を見つけられるのか。
対話をしながら一緒に探しました。


1)イメージしている『別のやり方』があるかどうか。
  過去にこれを試してみたのだけれど…という方法が既にあるかどうか


  過去に、こういう風にやってみたこともあるのだけど…という方法が既にあったり、
  頭の中に、『こんな風にやってみようかな』と思いついていながら
  まだ試していない方法は何かありますか?

という確認を最初にさせていただきました。

その質問をした意図は、
・やってみた方法があるのにモヤモヤしている 
・思いついている方法がないわけではないのに、実行できずにいる

そのような場合、『その方法に何かスッキリしないものを感じている』ということなので、

◎どのあたりにスッキリしないものを感じているのか
を明確にし、
◎それが、もっとどうだったら…と感じるか
を見てみる作業をしながら、
やってみよう!と思える方法に近づけるための微修正をすればOKだからです。

このかたの場合、
アイデアは思い浮かんでおらず、過去に他の方法を試してみたこともないとのことでした。


2)内心によぎっていた思いや考えを素直にそのまま言語化して、外に出す


   他の方法は特にはないんですね。
   そしたら、ごはんのそのやりとりの、
  「はーい」って返事をしながらビールを取りに行かずに時間稼ぎをしているとき
   内心にはどんな感じがよぎっているのかなあ?


と尋ねてみました。

尋ねるとき、ちょっとしたコツがあります。(自問自答の場合も同じです)

『そのときの本音は?』みたいな、ズバリな聴き方は私はしません
人は、何かをつきつけられてしまいすぎると構えてしまうので。

『内心で考えていることは?』みたいな聞き方も、《考え》だけにターゲットが限定されて答えの幅が狭くなるので私は避けます。


内心にはどんな感じがよぎっているのかなあ?

考えでもいいし、思うことでもいいし、感情でもいいし、
うまく言葉にできない感じでも良いので、答えの幅を広げられる「感じ」という言葉を使い、

「〜なのかなあ?」とか「どんななんだろうね」みたいな
直接つきつけることにはならないやさしい疑問形にすることが私は多いです。


その人の場合は、

・なんでいつも私が?という気持ちがある
・私だってごはん食べてるのに と思う
・そのくらい自分で取りに行ってほしい
・ささやかなことだからこそ、軽く頼まれると対等じゃない気がしてしまう

などと話してくださいました。


内側に閉じ込められていた思いや声が、少しずつ外に出てきました。



3)(『どんな対応をしたいか』を考えるために)
  今現在の自分のやりかたの『どこにひっかかっているのか』を明確にする

  (出してくださったいくつかの本音について)
   ああ、なるほど。そうですよね。
   ただ、このあたりの本音的なところは、出来ればあからさまにしたくはないのかな?

「そうですね。ケンカしたいわけじゃないですし。
 あっちも軽い気持ちで言ってきてることなので、私も軽く答えたい、っていうか」

   ああ、そうか。そこは大事ですよね。
   じゃあ、実際にやってしまっている対応のどのあたりを修正したいかを考えてみましょうか
   ご自身では今の対応にスッキリしていらっしゃらないのでしたよね。
   具体的にはどのあたりが自分で一番ひっかかる感じなのかなあ?


「無視しようと思ってやってるわけじゃないんですけど、
 結果的には無視する形になっちゃってるところ…、かな」


   そうなんですね。
   お子さんに話しかけるとかして時間を稼ぐのは
   無視してやる!と思ってやっていることではない、
   けど、結果としてはそうなっちゃってる、ってところにひっかかりを感じていらっしゃるんですね。


4)どんな思い(ニーズ)のためにそれをやっちゃっていたのかに気づく


「はい。無視を意図してはいないけど、そういう風に暗に運んでますよね、私。
 そこが、さきほど聞いたPA(受動的攻撃)的だなって」

   じゃあ、「はーい」って返事をしながら子どもさんに話しかけるのは、
   なんのために、そうしたくなるのかなあ?


「…そうやって子どもと私が話してて、
 ああ、すぐには取りに行けないんだなって彼が思ってくれたらな、って。
 自分で取りに行ってくれればいいなって思うんです」


   (2)の段階でもその気持ちは語られていたので)
   自分で取りに言って欲しいなっていう気持ちは、大きいのかもしれませんね。


「はい。大きいですね。自分で取りに行って欲しいなって思ってます」


5)本当のニーズを伝えるとしたらどんな言動がいいか、微修正しながら形にする

   そしたら、自分で取りに言って欲しい、っことを
   何らかの形で伝えられたら良さそうなのかなあ。


「そうですね。
 『自分で取りに行ってよ』って言えばいいのかな。
 …でもなんか、それだけだと、冷たいですよね?」


   どうでしょうね(^^) 
   冷たい感じがするかどうか、ちょっとホワイトボードに書いてみますね。

   ( 自分で取りに行ってよ )

   …
   今、文字に書かれた『自分で取りに行ってよ』をご覧になってみて、
   何か気づいたことはありますか?


この段階では、私は、文字にして書いてみるか、
ロールプレイでやってみて、ご本人に耳で聞いてみていただくかの
いずれかの方法を取ることが多いです。


ホワイトボードで文字にしたものをご覧になってみていただいたところ、


「『私も忙しいから』とか、理由になるようなことを何か頭に入れたほうがいい気がしてきました」。

   なるほど! 書いてみますね。

   (  私も忙しいから、自分で取りに行ってよ )

   これで、ご覧になってみて、どうですか?


「なんか、すっごくウソっぽい(笑)」


   あら、そうなの?(笑) ウソっぽいっていうのは…?


「ただごはんを食べてるだけなのに、忙しいってことはないよな、って」

   
   ああそうか。ただごはん食べてるだけなのに、か(笑)
    ( 2)の段階でも、私だってごはん食べてるのに…っておっしゃっていたなあと
     思い出しました。
     本音としておっしゃっていたことがここでも再登場し、
     それに対して『忙しい』と強調的な表現をあてはめかけたということは、
     このかたにとって、遮られずに食事をしたいニーズはかなり強いのかもしれません)


   提案なんですけど、今おっしゃった、「ごはん食べてるから」を
   忙しい の替わりに、そのままつけるのは?
   抵抗がありそうですか?


「『ごはん食べてるから、自分で取りに行って』って言うってことですか?
 …ああ、そうですね。
 ホントですね☆
 抵抗はないです。別にそれでいいんだ?!!と今思いました。
 どうして私、こんな簡単なセリフを今まで思いつけなかったんだろう!!(笑)

 今度言ってみます」


   言ってみようと思えるセリフが見つかって良かったです!
   簡単なことってなかなか思いつけないですよね。


  *  *  *  *

《なぜ、こんな簡単なことを今まで思いつけなかったのか》っていう気づきは大事だなあと思います。
その背景には重要なものがありそうなので(^^)

ただ、このかたとのやりとりでは、それ以上突っ込んでいくことはしませんでした。
ご本人が、この言い回しを見つけただけで充分満足していて爽快だったら、
わざわざ穴を掘る必要もないなと思うのと、講座での時間の関係上です。

ここまで来ても、
「そう言えたらいい、って、頭では思うんですけど、
 でもなんか、…いざとなると言えない感じがします」となることもありますし、

「どうして私、こんな簡単なセリフを今まで思いつけなかったんだろう。
 いつも私ってそうなんですよね…」となるような場合もあります。

そんなときは続けてそこを丁寧に見ていくと、
自ら作ってしまっている柵や足かせとその背景が見えてきたりすることもあります。


  *  *  *  *


長くなったので再度整理しとこっと(笑)。

1)イメージしている『別のやり方』があるかどうか。
  過去にこれを試してみたのだけれど…という方法が既にあるかどうかを確認

 有りの場合→①その方法のどのあたりにスッキリしないものを感じていて、実行できずにいるのか
       ②どこがどうなったら、実行しやすいものに近づくか
 
 無しの場合
 ↓

2)内心どんな感じがよぎっているか(思いを正直に外に出す)
  (内に抑圧して溜めると健康に悪いですからw)

3)今現在の自分のやりかたの『どこにひっかかっているのか』を明確にする

4)どんな思い(ニーズ)のために3)の方法をやっちゃっていたのかに気づく

5)本当のニーズを伝えるとしたらどんな言動がいいか、微修正しながら形にする


慣れないうちは、ひとりでこの作業をするのは(手順がわかっていても)けっこう大変かもしれません。

自分の思いや感じを客体化する という作業が、ひとりだと難しいのです。
「この手順通りでいいから、私にこう質問して?!」と
誰か、自分に質問をしてくれる人がいるだけで(それが機械的だとしても)やりやすくなるかと思います。


個人セッションはご希望のかたがいらっしゃれば対応させていただいてます。
Wen-Do Japanのサイトの問合せフォームからご連絡ください(^^)/



Be yourself, Be strong, Be happy!


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読んでくださって、ありがとうございます。


《Wen-Do Japan 福多唯》
・1996年に双子を出産。多胎児育児支援活動での「双子育児のQ&A」は6000部完売!
・その後、育児支援や虐待防止の活動、講演、講習、相談員など。

・Wen-Doは2002年より。
 日本人初の講師となった後も複数回にわたってカナダで学び、
 日本で唯一のマスターインストラクターとなる。

・クリティカルシンキングTOCfEのマスターでもあり、
 その講師もしつつ、Wen-Doでもクリティカルシンキングを活用。

 *クリティカルシンキングとは
  「本当にこれでいいのか?」と、前例や慣例、各自の前提を疑い、
  テーマや目標に沿って適切に考えることを目指す思考法。



《講習や講演、主な実績
・海 外:カナダ、マレーシア
・日本では北海道から九州地方まで100カ所以上。

・自治体および、公益団体:
  男女共同参画/ダイバーシティ/子育て/教育/人権・福祉等の領域にて

・学校や大学:
  日本福祉大/東海大学付属仰星高校/愛知淑徳高校・大学/和洋国府台女子高校
  前橋国際大/群馬県立女子大/清泉女学院大
  金沢大/金沢大学附属小学校/金沢星稜大/北陸大/金城大/金沢学院大 など

・企業イベント・企業研修:
  NTTコミュニケーションズ、富士通など

・民間団体:
  UN Women日本国内委員会/YWCA/更生保護女性会/国際ソロプチミスト
  /各地CAPグループ/信州プロレス/MAC/幼稚園協会、保育士会/各種相談員研修会
  日本産業カウンセラー協会(東京支部)など








by selfdefence | 2014-08-12 18:30 | 女性支援

ふくだゆいです。自己表現や思考スキル、日本語の講師です。20年以上前のある日、声をあげたら、『蓋』が開いたんです。びっくりでした。蓋の存在にすら気づいていなかったので。以来、困ったときには探すようになりました。どんな声でどんな蓋を外したらいいのだろう?と。基本閉じていてひとりの時間が好きな私でも、声探しに助けが欲しくなることがあります。声探しの場を求める人と繋がれたら嬉しいです。


by selfdefence