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質問への回答

「あのときあれで良かったのか、ずっと気になっているんです」

こんにちは。
女性のためのセルフディフェンスWen-Doインストラクターの福多唯です。

8月8日の夜は、金沢学生のまち市民交流館でのWen-Doワークショップでした。

こんな質問が出ました。

   *   *   *   *   *

 もうどのくらい前か自分でも思い出せないくらい、
 20年くらい前のことなんですけど、
 職場でこんな出来事があって…(*出来事の詳細については中略)。

 そのときに思わずぶちぎれて、相手を怒鳴ってしまったんですよね。
 そしたら相手は驚いちゃって、すぐにその行為を辞めたので、
 一応、自分を護ることに成功したと言えるかもしれないんですけど、

 でも、あれってどうなのかなってずっと気になってるんです。
 周りから何か言われた訳でもないし、不快な行為も止んだし…とは思うんですけど、
 なんか自分では、あれで良かったのかな、って。
 そういうのって、どうしたらいいんでしょうね。
 やっぱり他の方法のほうが良かったんでしょうか?


   *   *   *   *   *


お返事をするにあたって、
あれってどうだったのかなと気になっている というお気持ちについて
もうちょっと伺ってみました。


 あれってどうだったのかな…っておっしゃるのは…?


するとそのかたはこうおっしゃいました。

「周りに、そのときの自分が、どう映っていたのかなって」。


ああ。なるほど、と思いました。


   *   *   *   *   *


実際には、周りの人がその女性を白い目で見ることもなく、
その後態度が変わる人がいたわけでもなく、
不快な行為をしてきた人はそれを直ちに辞めてくれて、
彼女のなさったことはサクセスストーリーと言えなくもありません。


でも、ご本人がスッキリしていないんですよね。


どうしてスッキリしていないかというと、
おそらく、「応答」ではなくて「(反射的な)反応」をしちゃったからなのだろうなと思います。


自分で納得して、本当の自分自身としっかりとつながって、
そのつながった自分自身のために私はこの方法を選ぶぞ!という
主体性を持って行動を起こしたときには、


私達は「周りの目にどう映っていただろうか」と思うことはありません。
自分で自分が見えているから。


自分で自分を見失っていたときほど、後で冷静になると、人の目が気になります。


   *   *   *   *   *


反応ではなく応答や対応を出来るようになる、というのって、
大人になるってことと似てるなと思います。

幼児の頃は、痛ければ泣き、不快なら泣いたりぐずったり。
感じたことにダイレクトに反応を示してそれを周りへの表現とします。


でもちょっとずつそこで、「周りから自分がどう見えているか」というまなざしが育って、
恥の概念が育ち、
ちょっと考えてから行動するようになったり、我慢するようになったりします。


質問をくださった女性も、本当だったら、
ちょっと考えてから、自分が納得の行く行動や表現を選んだ上で、
それを堂々と行いたかったのだろうなと思います。


けど、人生では思いがけないことがたびたび、沢山起こります。
反応しかできずに、後で「あれで良かったのかな」「大人気なかったんじゃないかな」と
気になるようなこともたびたびです。


セルフディフェンスで私達が学び続けることは何かというと、
身体スキルそのものというよりも、

突発的な出来事が起きたときにも自分としっかりつながるためのチャンネルをどう持つか、とか、
どんなバリエーションや選択肢が自分にあれば
自分が納得できる方法を選べるかの参考情報となる、他の女性のサクセスストーリーです。


勢いや瞬発力、怒りだけでは、納得のいく方法で自分を護るということはできないんですよね。
やはりそこには、積み上げと愛は必要になってきます。

身体スキルの修練という意味での積み上げではなくて、
自分自身と向き合う時間の積み上げ。
それを続けるモチベーションは他者への怒りではなく自分への愛です。


もしこんなことがあったら…とか
もし相手がこう言ってきたら…、もしこうされたら…、に対しての
応答のバリエーションを、学びながら自分の中で徐々に増やしていって、
『この場面ではこれをする私こそが私らしい!』と思える自分と出会えるのが、
セルフディフェンスの面白さ。


そういう自分と出会えたら、「サバイブする=生き抜く」ことが出来ると思う。


20年も前のことがあって講座に脚を運んでいただけたのだとしたら、
その、気がかりになっていたことを忘れずにいられた力ってすごいと思う。
過ぎたことだから…と誤摩化したり忘れたりする方法だってあっただろうけど、
ご質問をくださった女性の中の何かがそれを彼女に許さなかったのでしょう。

それほど、そこには、その人にとって大事な何かがあったってことです。


忘れずにいた力を自分のどこかが持っている、ということを誇りに思って、
機会をとらえながら学んで、バリエーションを自分の中に積み上げていけば、
私に尋ねてくださったことへの答えが見つかる日は
遠からず来るのではないかなという気がします、と


そうお返事をさせていただいたら、
そのかたはその後も一層生き生きと積極的にWen-Doを学んでくださいました。
楽しんでくれてありがとう!
とっても嬉しかった夜の講座でした☆


金沢学生のまち市民交流館でのWen-Do、次回は9月5日(木)10〜12時。日中になります。
女性ならどなたでもご参加いただけます♪

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by selfdefence | 2013-08-10 22:48 | 質問への回答

ふくだゆいです。自己表現や思考スキル、日本語の講師です。20年以上前のある日、声をあげたら、『蓋』が開いたんです。びっくりでした。蓋の存在にすら気づいていなかったので。以来、困ったときには探すようになりました。どんな声でどんな蓋を外したらいいのだろう?と。基本閉じていてひとりの時間が好きな私でも、声探しに助けが欲しくなることがあります。声探しの場を求める人と繋がれたら嬉しいです。


by selfdefence