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加害者関連

痴漢の冤罪を無くすために

こんにちは。

痴漢行為の罪に問われていた方が、最高裁で逆転無罪となりました。

Excite エキサイト : 社会ニュース

ヤフーニュースの(産経新聞による)全文はこちら


冤罪は絶対にあってはならないことです。
ご本人が無罪だと主張し、証拠がなく、
裁判で無罪とされたなら、それはまさしく無罪!

冤罪で有罪とならなくて良かったなぁ。
ニュースを見て、心底そう思いました。




これまで、多くの女性が
「痴漢は単なる『出来心』で済まされるいたずら行為ではない」
「痴漢は性暴力であり、犯罪だ」と声をあげ、
啓発活動を行ってきたひとつの成果として、
この数年で、痴漢行為への世間の目は、非常に厳しいものに変わってきたなーと
感じています。


その変化自体は、もう、大歓迎。
ただ私は、同時に、
身に覚えのない痴漢行為の『犯人』とされ、冤罪を被った方も多くいらっしゃるため、
(でっち上げの証言で、容疑者とされた人に強請を行うような下劣な犯罪までありましたよね)
上手く言えないけど、
ずっと『何か気になる感じ』を覚えていたのです。


せっかく、被害にあった女性の証言に
真摯に耳を傾けるのが当たり前という気風が高まってきたのに、
『冤罪を生んではならない』という風潮が強くなりすぎてしまうことで、

結局、かつての、
「被害者の被害証言だけで、人を逮捕するわけに行かない。
 証拠はあるの? 目撃者は? ないなら話にならないよ」
的な社会に逆戻りしてしまわないだろうか…と心配になってしまう。


冤罪は決してあってはならないこと。そう思います。
だから、もしも被害を受けたという側の証言しかなくて、
容疑者には繊維付着などの証拠が何も残っておらず、
目撃証言もひとつもとれず、
自主もないとしたら、

誰も、罪を着せられてはならないし、
ましてや逮捕されたりしてはならない、と思います。


そのことと、痴漢犯罪を野放しにしないということを
両立させるためには、
私達には何ができるのだろう? 何が必要なんだろう?



そんな風に思いながらニュースを見ていて、今のところの答えとして私の中にあるのは、
当たり前っちゃー当たり前なことなのですが、



「犯罪は、社会共通の重要課題だからこそ、
 でっちあげても、見逃してもいけない。
 あらゆる犯罪行為にたいして、偽りや飾りや憶測なしで語るという
 社会人としての責務を果たす意識を、私達自身がしっかり持つこと」。



やはり、ここに尽きるかな、という気がしています。


*  *  *  



子どもの頃のおぼろげな記憶ですが、こんなことがありまして。


私は祖父母を含む3世代家族で育ち、母は仕事に出ていて、
祖母が夕食の支度をしていました。


ある日、夕食が食卓に並び、「さぁ食べようかというタイミングで母が帰宅したのですが、

非常に慌てて、また、真っ青な顔で居間に駆け込んできて、叫びました。


「そ、そ、今そこで、ひき逃げ! ひき逃げがっ!!!」


父や祖父は、すぐに外に出ていきました。


そのあとは、警察に電話したり、目撃した人が町内で他にもいないかと尋ねたりだったのでしょうか。とにかく、家も近所もバタバタして、夕食どころではなくなりました。


私は、ひき逃げという言葉自体がわからないくらい幼くて、
「ひきにげって、なあに?」と大人聞いたのを覚えています。

あとは、「お腹空いたなー」とか「ひとりで先に食べたらダメかなー」とか、
そんなことを考えていました(^^;;

でも、
母の真っ青な表情に、ただごとではない雰囲気は感じていました。
だからこそ、今でも、あのときの母の表情と、
家の空気が一転した様子が、記憶に残っているんだと思います。



殺人とか、強盗とか、ひき逃げなどの犯罪現場に居合わせたら、
きっと誰だって、「ただごとではない」と思うよね。
私の母がそうであったように、
形相を変えるほど驚いて、腰を抜かしながらも
でも、「なんとかしなきゃ」となる人が多いだろうと思います。

しかし。
痴漢という犯罪について、私たち(世間)は正直言って、そこまで思えるのだろうか。



もしかしたら、同等に感じ取るのは難しいのかも。と思ってしまいます。
血が流れるわけではないですし、被害経験がない人には特に。

  (*強盗やスリだって、被害経験がない人は多数ですが、
    お金や財布やカバンをうっかり無くしたり置き忘れたりした経験は
    誰にでも一度や2度はありますし、
    誰かから驚かされたことだってありますよね。
    だから、被害にあった人のショックを、自分の経験の延長線上に想像しやすい。

    痴漢や性被害は、経験がない人はホントに全くないわけで…。
    想像力が及びにくい部分がありそうな気がします)


うまく想像ができず、感情が動かされない事柄に対して、
重要案件として自分の関心を向け、
居合わせたときに対応の優先順位を上げるのは簡単なことではないだろうけど、


でも、そこは理性とイマジネーションを持つ人間として
「痴漢だって、ひき逃げと同じように、ひどい犯罪行為なんだ」という意識は持ちたいと思います。


結局は、警察の対応がどうこうとか、「男には女の気持ちはわからない」的な一面的な問題ではなく、
社会の皆が、痴漢行為を、『私たちの社会で行われてはならない犯罪行為』として認識できるのかどうかが、
問われているような気がしています。



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by selfdefence | 2009-04-15 15:17 | 加害者関連

ふくだゆいです。自己表現や思考スキル、日本語の講師です。20年以上前のある日、声をあげたら、『蓋』が開いたんです。びっくりでした。蓋の存在にすら気づいていなかったので。以来、困ったときには探すようになりました。どんな声でどんな蓋を外したらいいのだろう?と。基本閉じていてひとりの時間が好きな私でも、声探しに助けが欲しくなることがあります。声探しの場を求める人と繋がれたら嬉しいです。


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