<   2007年 04月 ( 2 )   > この月の画像一覧


2007年 04月 23日

見くびられてたまるか!

 WEN-DOプログラムは、1972年にカナダのトロントで生まれました。
 1960年代に起きたある事件がきっかけでした。

 ある事件とは「キティ・ジェノバース事件」と呼ばれています。
 キティさんという女性が、男性からの暴行を受けて命を落したその事件では、
 なんと現場を目撃していた人が、38人ほどいたと伝えられています。

 そんなにもたくさんの人がいながら誰も止めに入りませんでした。
 通報すらしませんでした。
 
 男性から女性への暴力だったのは言うに及ばず、
 『大衆が殺人行為を見守った』
 『社会が、女性への暴力を黙認した』事件として語り継がれています。
 加害者ひとりがキティさんを殺したのではなく、
 私達が、社会が、キティさんを見殺しにしてしまいました。

 外国での40年も昔の事件だと片付けるわけには行きません。
 それと全く同じ構造で支えられた犯行が身近で起きています。

 * * * * * 

 平成19年4月21日、午前。
 私もよく利用する北陸から大阪行きの特急の車内で、
 昨年女性を暴行した男性が逮捕されたというニュースがありました。

 多くの方がご存知でしょうから、事件のあらましを書く必要もないかなと
 思ったのですが、やはりWEN-DOに携る者として見過ごせないと思い、
 事件のあらましを掲載します。
   (ご存知の方は跳ばして読んでください)

 大阪に行く特急サンダーバードの自由席車輌で
 福井駅から、36歳の男性が21歳の女性の隣に座り、
「大声出すな」「殺すぞ」「警察に言ったらどこまでもストーカ
 ーするぞ」などと脅迫しながら、女性に性暴力をふるった…らしい。

 この特急、早くて便利なのは良いのですが、停車駅が少ないの。

 異変に気づいていた乗客も一部にはいたようなのですが、
 特急の座席って、他から見えにくいですし、
 性暴力って、女性の抵抗の気力さえそいでしまえば
 静かに行なうことができちゃう、人目につきにくい暴力です。
 女性が窓際、加害者が通路側の席にいれば、
 “明らかにこれは痴漢行為・性暴力だ”というような場面を
 第3者に見られるようなことは、なかったのかも…。

 それに、最初「殺すぞ」などの声がしていて
 「え? 何? なんか大変なことが起きてる?」と違和感を乗客が感じたとしても、
 その後、だんだん静かになってしまえば、
 「ああ、治まったのかな。良かった」などと考えてしまいそう。

 逆に、暴行が疑われる物音や声が聞こえたとしても、
 『被害女性のためにも、むやみに見てはいけない』という
 妙な遠慮心が湧きそうな気もします。

 見なければ、目に触れることがなければ、暴行の程度はわからなくなります。
 乗り合わせた人たちは、どんどん介入のきっかけも証拠も失います。

 そして、加害者による女性への暴行が続いたのでしょう、多分。
 その間…1時間以上も。

 京都駅以降は女性はトイレに連れ込まれ、さらに暴行を受けたと報道されていま
 した。
 
 多分、助けなんて求められなかっただろうな…。
 殺すって脅されて、1時間以上も孤立して、声なんて出せる心理状態ではないはず。
 
 そうやって、異様な雰囲気で立ち上がって車輌を出ていく女性と加害者。

 もし私だったら、「え? まさか、ずっと続いてたの?!」
 「車輌を出てどこへ…。まさか…」
 「でもあの子、助けを求めてないし…」
 「ヤバいんじゃないの?」
 などなど、とにかく困惑するだろうと思います。
 自分の違和感を確かめるための材料が欲しくて、
 数秒間は、“様子を見る”ようなことをしてしまいそう。

 そんな様子の乗客を、加害者は「何ジロジロ見てんだ!」と威嚇したとも
 言われています。

 その一言で、逆に違和感は確信につながりはするだろうけど、
 今の特急は設備がいいですから、ドアを出ればトイレなんて目の前。
 「どうする?」「マズイよ」と周りがおたおたしている間にも、
 加害者は簡単に女性を連れ込むことが出来てしまった…のではないかな…。


 * * * * * 
 
 なんていうか…私、とても憂鬱な気分です。いろんな意味で。

 もし、私の隣にその男性が座ったら…?

 あるいはもし、私がそこに乗りあわせていたら…?

 ひとつひとつ想像してみると、
 その想像は現実とは違うのだとしても、
 そこに乗り合わせながら、何もできなかった人たちの心境が、
 私はわかるような気がしてしまうのです。
 思い当たる部分が、自分のなかにもありすぎる。

 決して「40人は何やってたの?」「ひどい!」と言い捨てる気になれない。
 決して「傍観者も同罪だ」と正論をふりかざす気になれない。

 そういう自分の弱さと鈍感さに、今日はすごく憂鬱です。

 かといって、自分を責めてもいいことはないし、
 弱さがあっても仕方がないとは思います。人間だから。

 でも、
 頭を使って何かできることだってあるはず。人間だもん!
 
 そんな風に思いながら、
 「もしも自分がターゲットにされたら…」「もしも私が車内に居合わせることがあったら…」と、さきほどまで、案や戦略をいくつも考えてみたりもしました。

 みなさんも、考えてみませんか。
 正解などあるはずはありませんが、
 自分なりのアイデアを自分で自分に用意してあげられるかどうかが、
 いざというときの瞬発力に影響するような気がします。


 * * * * * 


 それにしても、別の意味で憂鬱なのは、加害者の男性が同様の犯行を
 繰り返しているという事実です。
 去年の12月にも、電車車輌内で女性を暴行し、公判中だったそうです。
 
 今回逮捕された電車の状況と、去年の12月の犯行の状況は異なりますが、
 乗客が乗りあわせていてもいなくても、同じだなんて…。

 …。くぅーーー!

 そこまで見くびられてたまるか!


 * * * * * 

 以前に講座で
「暴力からは逃げることが大切だ」ということを話したときに、
 受講生から言われた忘れられない一言があります。


 『でも、特急の指定席だったらそれも無理ですよね? 
  周りからは見えないし、ナイフでもつきつけられたら、もうどうしようもないと思
  います』

 あのとき、“『誰かが気付けば助けてもらえるかもしれない』という希望は、
 この方の中にはないのだな”と感じ、その方に…というか私達にそれほどまで
 無力感と絶望を強いた環境を思うと、何とも言えない気持ちになりました。
 

 うかつなこと、安易ななぐさめは言えないけれど、
 でもそれでもやっぱり思います。
 
 そんなに簡単に加害者側についてあげちゃわなくてもいい。
 命と希望さえ手放さなければ、きっとなんとかなると信じたい。


 『助けを呼べず、ナイフで脅せば、抵抗できないだろ? ふふん』と女性や子どもや社会を見くびるのは、加害者だけで充分です。
 

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
当ブログサイトのあらゆる表現の無断での模倣・転用はお断りしています。
お使いくださる場合は、 ←ありがとうございます
出典を以下のように添えてください。

(c)「女性に役立つセルフディフェンス」WEN-DOインストラクター福多唯
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
[PR]

by selfdefence | 2007-04-23 15:43 | セルフディフェンス全般
2007年 04月 23日

花の子ぶた

羽田で買った東京みやげです。ブタに目がない一家なもので…。
e0024978_14405878.jpg

[PR]

by selfdefence | 2007-04-23 14:41 | つれづれ