こんにちは。以下はいただいたご質問とご返答の、ブログでの再現です。
Q.
女性の護身術で「恐怖や恐れを怒りのエネルギーに変えよう」というようなのを聞きます。怒っていい、怒りを出そう!というような。私はそれに賛同しています。
けれど、特に仕事の場面では「感情的な言い方は逆効果」と言われたりします。私は怒ると冷静になれず、声を荒げてしまう面があり、直したいと思っています。でも一方で、冷静な言い方をして相手に本当に私の気持ちが伝わるのか?という気持ちも残ります。
感情的に怒ってはいけないのでしょうか?
どうしたら怒りを、わかりやすく表現できるのでしょうか?A.
「怒りを、もっと適切な表現で伝えたい」
こうした気持ちを持つ人は、もう既に、『適切な表現で伝えることのできる』能力を
発揮しはじめているんです。気付きのない学びや課題克服はないですもの。
「あまり怒ったことがない」「怒りを出すのが苦手」というお声も聞く中で、
怒ることが出来る人の課題は怒りの表現方法についてだけです。
ということで、大船に乗った気持ちから、スタートしたらいいのでは…と思います。
* * *
【人との合意形成には、『共振』が役立つ】仕事で怒りを感じる場面では、
達成したい目標があるのに、そこへの関わり方や物事の進め方について
価値観や方法論、熱意などのズレがあるときに感じることが多いのかなあ。
目標に到達するためには、共同作業をおこなうメンバーで
合意形成が必要になってきます。
人と合意形成をするときや人を説得するには、
相手と『共振』をすると良いと言われています。
相手の呼吸や口調のペースなどと、こちらのそれらが、あまりにも合わないと、
相手はこちらに対して『距離』を感じちゃいますよね。
「あの人ひとりで熱くなっちゃってさぁ〜。なーんかついていけないー」とか、
「あいつ、あまりにもいい加減でヤル気ねーんだもん。一緒にやりたくねーよ」など。
突然、他者から感情的に怒りをぶつけられたときにも、似たことが起こるかと思います。
複数の人が、物事に対して同じ感情(熱意、希望、欲求などの度合いや方向性)を持ってることはありえません。
あり得ないからこそ、『共振』させるんですね。
あらかじめ打合わせをしたりオリエンテーションをしたりして
なるべく感情のレベルを同一にしようとするわけです。
けど、そのプロセス途上にある会議や打合せ時に、突然『怒り』という大きなエネルギーをぶつけられると、
こちら(怒られた側)と、怒りをぶつけた側との感情レベルの差が、
普段よりも目立ってしまいます。
「はぁ? 何そんなに激怒してんの??」とシラケちゃうみたいな。
そのときに、相手を理解しようと思えたらすごいけど、
突然爆発した怒りには、多くの人は準備が出来ていないときにぶつけられるわけですから、
自分が不意な出来事に傷つけられないように相手と距離をとりたくなります。
「くわばら くわばら」という感じで、防御姿勢(退散姿勢)に入るわけです。
セルフディフェンスとしては、距離を取ることは大切で、
相手に怒りを表現することによって、相手が距離を取ってくれれば=離れてくれれば
相手から自分が侵害されることも減ります。
そのためにというわけではないけれども、
そうした効果もあるから「怒りの力を使おう!」と言われます。
でも、相手と共に辿り着きたいゴールがある場合=仕事などの場合は、逆です。
セルフディフェンスにもそれはあるんですよ。ナイフディフェンスなどがそうです。
相手と共に辿り着きたいゴール、
それは『相手も自分もナイフという武器を使わず、負傷者が出ないこと』。
辿り着きたいゴールがある場合は、
最初は相手の呼吸とあわせて『共振』する(しようとする)のが大事なのです。
最終的にこちらの目指すゴールに辿り着けさえすればいい(ナイフディフェンス時は、「もし相手がナイフを手放さなくても、自分が逃げられればそれでいい」というのが最終ゴールです)という場合でも、
戦略として、まずは相手の呼吸に合わせて話をし、
次の段階で、少しずつこちらのペースに引き込んでいくのです。
【どうしたら『共振』できるか】『共振』を目指すときは、相手の呼吸や、内側でうずまいてる感情の動きや揺れなど
微かなところに“息を合わせて”対応すると成功率が上がると思います。
難しそうに思われるかもしれませんけど、
歌手のコンサートなどにたとえてみましょうか。
(1)最初は、お客さんのノリをさぐりながら、無難なスタート。
(観客の呼吸にあわせるために探りを入れ、自分も波に乗せる段階)
(2)お客さんがほぐれてきたら、だんだんとノリの良い曲や
大ヒット曲にうつっていく(観客と一緒にテンションをあげていく)
(3) 早い段階でお客さんに燃えつきられたら困るので、
静かな語りやバラードを入れたりする
(歌手がペースを先導しはじめる)
(4)会場と一体となって盛り上がる感動のフィナーレ。
「みんな、ありがとうっ! ほんとに ありがとうーーー!」
相手の感情に共振するには、自分が先に感情的になって自分の感情に振り回されては
うまくいかなくなってしまいます。
そんな意味もあって、ビジネスでは特に、
『感情的になるのは上手いやり方ではない』とされるのかもしれません。
【信頼関係を築くには…】怒りは基本的には、甘えることができる相手でないと表現できないものと言われています。
「この人に対してなら怒っても怒鳴っても大丈夫」と言う感覚を持てる相手にしか、
人は怒ることはできないのだそうです。
なるほど。自分が、誰になら怒ることができて誰には怒りにくくなるか、想像すると納得…。
そして、怒られた時のことを振り返ると、
「なんだよ偉そうに!」、
あるいは「…。自分ってダメなんだ…」など、
自分が“見くびられた・下に見られた”という感覚を持つことが多いことに気づきます。
怒る側は、相手に甘えを持ち、
怒られた側は、“下に見られた”と感じると…。
2者間の対等性を崩すことになりそう。
信頼関係を育んで建設的にやりとりしていきたい相手とは
『怒り』という感情を武器にして、“武器の威力(感情の大きさ)”を振り回すようなやり方ではなく、
『なぜ怒るのか』の“理由”と
それを解消するための“代案”を、落ちついて伝え、
前向きな話合いを目指すほうが、近道なのかも。
補足1:【感情的にならないためには】どうしたらカーッとならないでいられるか…については
いろんな方法が言われています。
私も怒りっぽいので、いくつか体験したところ、
様々な方法がそれぞれに効果的だと感じました。
あと、当たり前ですけど、セミナーの日だけで自分が劇的に変わるのではなく、
日常で心がけるという「訓練」を経ていくことで、身につくと実感しています。
望みさえすれば、感情的にならない自分に近づけると思っています。
自分に合った方法が、きっとどこかにあるし、
目的意識をお持ちのかたなら、必ず出会えますよ!
世の中、そういう風に出来てるっていうか。
あえて言うなら、全ての方法に共通するのは
『私には感情的にならずに問題に対処できる能力がある』と
自分を信じるというか、自分に言い聞かせることだと思います。
失敗することも沢山あるのだと思うのだけど、
それでもくじけないで、『あなた(私)ならできる!』と
辛抱強くメッセージを送りつづける持久力を持てるかどうか。
怒りがこみ上げた場面でも、相手や状況を観察しつつも、
最終的には自分の内側に焦点を当てていて、
「大丈夫、私はやれる。がんばれる」
「落ち着け。爆発するのに最適な時は今ではない。まだだよ」と、自分で自分を支える感じです。
そういう、内側の自分がしっかり育っていけば、
わなわなと怒りに震えてコントロールを失ってしまう自分ではなくなるだろう…と
希望を持ちつつ、
私も、歩みつづけてる真っ最中です(^^)
補足2:【持久力の育みかた】持久力を持てるかどうか…と書いたけど、これはけっこう大変だったりします(^^;
ここで重要になるのが『仲間』。
辛くて長いマラソンだって、
仲間と一緒なら、走り続けることも出来る。
途中に、トラブルや困難や疲れがあるのは、自分が弱いからではない。当たり前のこと。
その時に自分を支えてくれるのが、同じ目的意識を持つ仲間なんですよね。
自助グループみたいなものを作るのもいいし、
「怒り」についての学習グループを作るのもいいかなと思います。
「グループを運営すること自体が、また、大変じゃん」との声もあると思うけど、
そうなんです、グループって、大変だけど、だからこそ自分を自然に育んでくれるんです〜。
しかも、“本当に辛くてもうダメだと思ったらいつでも辞めていい”という良さがあります。
仕事でも義務でもない、自分のためにやることだから。
今は近場に仲間が見つけにくくても、インターネットでどこの人とでも交流できる便利な時代になりました。
活用しながら、ながーいマラソンを完走したいと思っています。
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(c)「女性に役立つセルフディフェンス」WEN-DOインストラクター 福多唯
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