私が「サボテンちゃんの手って、本当に綺麗だよね〜」と触る役になり、
サボテンさんが
『離してください!』と、試しました。
今、『離してください』と言ってみて、どうですか?
「…。やめてください も、試していいですか?
言い回しとして、そちらのほうが言いやすそうな気がしてきました」
『やめてください!』で試しました。
セリフを変えてみて、今どんな感じですか?
「…強い口調でなくてもいいのかも、という気がしてきました」
じゃあ、セリフは同じままで口調だけを変えてみましょうか。
サボテンさんの口調は『やめてください』と静かなものに変わりました。
いかがでしょう?
「静かに言っているわりに、結局は相手に依頼をしているというか…
半強制のようなことになっているのかな、…って、妙な気がしてきました」
なるほど! それはすごい気づきですね。
相手への依頼や強制にならずにサボテンさん自身の気持ちを伝える、
別のセリフは思いつくでしょうか?
基本路線は《きっぱり伝える》のままで、です。
「そうですね…。私の気持ち…。
『イヤなんです』って言ってみてもいいですか?」
●護身術で言うエキスパートとは「どのようにしたら自分が最大の力を発揮できるか」を知り、実践できる人。
=AとBをふまえて、どんなセリフなら「これだ!」とスッキリするか、試したり練習したりしよう。
サボテンさんは、『イヤなんです』を試しました。
「このほうが気持ちには近いけど…。
職場の人なので…っていう不安は増しちゃった感じです。
どうしたらいいですか?」
お気持ちには近いんですね。
そしたら、《イヤなんです》は残したままで、他に何か付け足す言葉があるといいかも。
護身は、安全のためにすることではあるけれど、
自分が自分のためにすることなので、
一番大事なのは、自分の望みにぴったりで、
自分が気にいる表現や方法をみつけて、自分が行動しやすくなることなんです。
職場の人だからこそ不安なんですよね。
サボテンさんはその人と、どんな関係性でいたいですか?
「仕事はスムースにしたいですし、後でごちゃごちゃ言われたくありません」
逆に言うと、仕事を共にする人でなければ
サボテンさんはここまで言いかたには迷わなくて、
何しとんねん!離せ!!でいいのかもしれないですものね。
「そうです、そうです。そこを相手にもわかってもらえたらいいんですけど…」
本当ですね。
仕事を共にする人に、断りの意思を伝えるって勇気がいることですよね。
するとサボテンさんは、しばらく考えて、
「言ってみたいセリフが作れました。もう一度やってみてもいいですか?」。
「○○さんだからこそ、勇気を出してお伝えします。
私、それはイヤなんです」
ご自身のセリフを作りあげた後も、
こんな言い方にしてみようかな、こんな表情がいいのかな、と
サボテンさんは数回繰り返してトライしました。
3度目で、心底満足なご様子になったので、
ここまで試してきてみて、わかったことや感じていることはありますか?とお伺いしてみました。
「きっぱりと思うことを言いたい!っていう気持ちは、自分の中で昔からずっとあって、
それが出来たらどんなにいいだろうと、憧れてたんですね。
今やってみて、わかったのは、
私にとって、きっぱり言うってことは、
必ずしも語調を強くするとか、相手を睨むとかとは関係はないんだな、って。
キツく言いたいわけじゃないですし、
それに、不審者に襲われているのとちがって急ぐ必要もなく、
どちらかというと、
一時しのぎではなく今後2度とそうされないことのほうが大事なので、
相手にわかっていただけるような物腰やセリフがいいなと思えてきて、
最終的にはあの形になりました。
頭の中で考えるだけではなく、実際に言葉として口に出して言ってみるっていう、
その効果も、良くわかりました」
リスクへの不安については、解消されました?
「はい。
不安だから強い言い方をしなきゃいけないような気持ちになり、
それがまた不安を増して…ってなっていたなーって思います。
不安になるのは仕事を共にする人だからだとか、
そういう相手に伝えるのは勇気がいるとか、
不安な気持ちの奥にある理由に目が向いたら、自然とセリフが出てきた感じです。
今日のWen-Doで、もしからだの危険を感じたら、
いざとなったらこうすればいい!っていうのが、自分の中にあるのも、安心感として大きいです。
護身術の体験で、
自分の物の伝え方がこうも変えられるんですね!」