こんにちは。Wen-Do Japanの福多唯です。
先日、Wen-Doのワークショップを神奈川でご活動のカミツレプロジェクトさんにご開催いただきました。
同会場で同一年度3回目の開催にもかかわらず、リピートしてくださる方も何人もいらっしゃたので、
今回はWen-Doの基礎スタイルをアレンジし、
【不安解消の予防的護身】と、【口頭対応】の時間をたっぷりと(^-^)
特に【不安解消の予防的護身】については、様々な場でご活用いただけるかと思うので手順を記載します。
《たとえば、痴漢のことで護身の策を考えたいなら》
1)テーマを『●●への不安解消に、私が使える方法を見つける』と設定
今回ならば『痴漢への不安解消に、私が使える方法を見つける』となります。
ファシリテータのいない学習会では、テーマの文を書くと視覚的にわかりやすいです。
(ファシリテータのいる場合はファシリテータがそこを把握して、
話が逸れかけた時にはテーマに戻るようにします)
ここでのポイントは、『解消』と『私が使える』。
『痴漢への不安解決に使える方法』『痴漢への不安解決策』『痴漢対応』などにはしません。
(理由はのちほど♪)
2)『私が不安を抱くのはどんな状況での痴漢?』を明瞭に
痴漢といっても状況は千差万別。
乗り物の中のものもあれば、通りすがりの行為もありますし、
乗り物も、いわゆる満員電車なのか着席中のことなのか、
立ち乗りで混雑はしているけれどぎゅうぎゅう詰めではない…などなど。
『私が今考えたいのは、どの場面の痴漢についてなのだろう?』と具体的に場面設定をします。
グループなら、
「今は、考えるステップの学びがわかりやすくなるようにしたいので、
状況も一つに絞って統一しましょう」と呼びかけて、
皆での共同作業で皆が同じシーンを思い描けるようにしておくと
ファシリしやすいと思います(^-^)
*ファシリが慣れていたら、複数場面があってもできないことはないです。
その時は時間の余裕を持って行います。
3)『そのシーンでの痴漢が不安なのはなぜ?』を考える
ぎゅうぎゅう詰めの満員電車という同じシーンに対してでも、
各自が不安を抱く理由は異なります。
また、仮に自分一人でこの作業をするとしても、理由は一つだけではなくて複合的なことも多いので、
「なぜならば…」と続けたくなることは全て書き出します。
(*TOCfEのATTでの、「障害」を書き出す作業に該当)
Aさんは《動きようがない》のが不安なのかもしれませんし、
Bさんは《人がたくさんいるのに助けを求めることができない》のが不安なのかもしれませんし、
Cさんは《なぜいつも私? 相手が私の家まで知っていたらどうしよう。
今は満員電車だからこの程度で済んでいるだけなのかも…》と思うのかもしれません。
4)『不安が解消されるとしたら、それってどんな状況?』を思い浮かべる
先日の講座で最初に出てきたのは「(相手が私を)さわれなくなっている」でした。
そうした、当たり前と思うことも出すことが大切です。
「さわれなくなっている」に次いで、
『それに似ているかもしれないけれど…』と前置きしながら、
『(相手が私を)触る気がなくなっている』という声があがりました。
そうした微細な差の意見も全て書き出します。
ここで、『触る気がなくなっている』が出てくるのは、
最初にテーマ設定で『解消』という言葉を使っている効果でもあります。
『解消』としておくことで、
『私が何もしなくても問題が解消されるなら?』を含めて
状況を自由に思い浮かべることにつながり、幅が広がります。
5)『その状況になるように、何をしよう?』と、できそうな行動をあげる
講座では
「さわれなくなっている」←「硬い素材の服を着る」
「触る気がなくなっている」←「鋲の着いたロックな服を着る」
なども出てきて皆で笑いました。
すっごく大事!と思ったことが一つ。
「硬い素材の服を着る」のアイデアをあげてくれた方が、
「自分ではそうしたいかどうかは微妙だし、おすすめもしたくないのだけれど」
と付け加えたので、
その理由をお聞きしたら、
「痴漢なんかのために、自分の服装選択の自由を封じるのはイヤっていうか」。
そうだよね〜〜!!!と、
あの瞬間にみんながうんうん!ってなって、一体感が高まってたなあ☆
笑いが出てくるのや、みんながうんうん!となるのは良いサイン♪
場がそうなると、自由なアイデアが闊達に出てきます。
同時に、
こうした場で進行を担う側としては、
笑いが出た時にはそれはそれで慎重さも必要で、
『もしかしたらこの場の笑いに、
当事者さんが傷ついたり孤独感を覚えたりしてしまってはいないかな?』は
常に念頭に置きます。
場の全員に対して、
「みなさん、いかがでしょうか。
今、様々なアイデアが上がってきているわけですけど、
ご自身にとっての『私が使える方法』がここに一つでもあるでしょうか。
もし、まだ私には一つもないわ、という方がいらしたら
皆でもっとアイデアを出し合いたいですし、
全員に一つずつでも何か出来そうなことが見つかっていたら、
この時間はこれで一区切りにしてもいいのかなと、チラチラ考えているのですが…? (^-^)」
と、確認もします。
オプション)
「私にはまだ出来そうな方法が上がってきていません」
「以前に、そこに書かれている〜〜〜をやってもダメだったことがあって…」
などのお声がいただけることもあります。
そんなときは、《前提条件が同じかどうか》を確認します。
『前提条件は同じでしたか?
満員電車で、ぎゅうぎゅう詰めで…という時に、
ここに出てきた方法をやってみても、ダメだったということでしょうか?』
とは聞きません が、
『ダメだったことがあったんですね。
そのダメだった時について、
今、《満員電車での痴漢について…》と私たちが皆で考えてきたのとは
そういえば違う要素が混じっているな〜とお気づきになることってありますか。
言える範囲で、どこがどう違っているのかを、教えていただけますか』
みたいな感じでお聞きします。
ご本人はご経験をお持ちなので、具体的なシーンで頭がいっぱいになってしまうと、
『言える範囲で…』と言われても、どうしたら良いかがわからずに言い淀むこともあるので、
言いたい(ご自身のモヤモヤを晴らしたい・それについて考えたい)のに
言葉が見つからずにいるみたいだなあ…なときには、
『たとえば、
電車のような密閉空間ではなかった、とか、人口密度が電車より低かった、とかでも大丈夫です』
など、抽象化表現のサンプルを提示することもあります。
そのあと、たとえばご本人が、
「ああ…。電車より人が圧倒的に少なかったです」などとおっしゃったとしたら、
『なるほど、そうなんですね。
だとすると、それは、やった方法がダメだったのではなくて
先ほど考えたケースとは前提が異なっていたっていうことなんですね』
と、そこではじめてご本人の具体的な発言をちょっぴり抽象化・要約すると、
ご本人も捉え方がわかり、応用が効きやすくなります。
あとは同じです。
『《人が少なかった》という状況での不安に絞って、先ほどと同じ手順で考えてみましょうか』
として3)に戻ります。
5月からのCLDエキスパートコースには、
【不安解消の予防的護身】と【口頭対応】の時間も入ります。
グループ活動で練習を繰り返しおこなっていただけるように手順マニュアルの資料も付けますね♪
ご参加の方は楽しみにしててください。
早く資料を作らなくっちゃ(^-^)
写真は、掲載OKをいただいたメンバーで。
みなさま、ご参加ありがとうございました!
同一年度で3回もご開催いただけたおかげでWen-Doの様々な面をご紹介できました。本当に感謝です!