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質問への回答

「バウンダリーが浅いと、どんなトラブルになりますか?」

こんにちは。Wen-Do Japanの福多唯です。


バウンダリー・ワークショップのことを気にかけてくださる方がいらして嬉しいです。

参加はできないので申し訳ないのですけど…と添えてくださった方がご質問をくださいました。
ご快諾をいただいてご質問とお返事を掲載します。


バウンダリーのワークが気になっています。
私はバウンダリーや境界について本当の理解ができていないからこそ、
色々なトラブルがあるのではないかという予感がしているのです。

でも、その予感が正しいのかすら、自分ではわかりません。
人から『これがいいよ』と勧められるものがあるとすぐにそんな気になり、
何から学べば良いのかがわからなくなります。

もしお差し支えがなかったら教えてください。
バウンダリーの理解が浅いと、事例として、どんなトラブルがあるのでしょうか。


参加せずに質問だけをして申し訳ありません。
本当は参加してこそ質問をする権利も持てるものと思っていますので、
もしそうであればそのようにおっしゃってください。
いつか機会を待ちたいと思います。



勇気を出してご質問をくださったのだなあ、ということと、
文面に私へのお心遣いが溢れていらして、とても嬉しい気持ちになりました。
ありがとうございます。

「バウンダリーが浅いと、どんなトラブルになりますか?」_e0024978_15214867.jpg


バウンダリー感覚が身につくと物事に線を引けるようになり、『その課題や問題の主体は誰なのか?』を見出しやすくなるので、
困った時に回答を見つけやすくなります。

バウンダリー感覚を身につけよう、とすること自体が、自分に優しくすることになるとも思ってます。



どんなトラブルの事例があるか…で思い出すのは…。



私は依存症当事者の女性の相互サポートの活動に関わっています。


自助グループ運営を担っていた頃は、
当事者ではなさそうな人?から、問い合わせメールや電話をもらうことも度々ありました。


その中に、独特の共通性を持つ問い合わせがしばしばありました。


以下は実際のメールではなくて私が記憶から再現したサンプル。
特徴を抽出すると、こんな感じです。↓



どちらに相談したものかわからず、問い合わせさせていただきました。

夜、ふと気がつくと、すごい勢いで隠れるようにして食べてしまっています。
娘は16歳です。
このままで良いのか、何か手立てを打つべきなのかがわかりません。

自助グループへの参加も考えています。

次回の集まりに参加したいのですが、よろしいでしょうか。
場所を教えていただけましたらと思います。 



うーん。どなたかが摂食障害でお困りなのだろうなというはわかるのだけれど。


・「夜、ふと気がつくと…」は誰?
・「すごい勢いで隠れるようにして食べてしまっている」のは誰?
・「自助グループへの参加を考えている」のは誰?
・「次回の集まりに参加したい」と考えているのは誰?
・自助グループに実際に足を運ぶことになるのは誰?
・問い合わせをしてきている人と『16歳の娘』の関係は?(娘と書いているから親なのかなとは思うけど…)





・私は目の前の出来事や人たちに対して、どんな立場の人間なのだろうか?

・この困難は、私が今なんとかしなければならない事柄だろうか?

・それとも他の人に任せてもOKなことだろうか?

・はたまた、時間の経過で変化や解消が期待できることだろうか?


上記を分けて考えられるようになると、
悩みの解消のハードルが下がるのだろうなって思います。


でないと、
仕事も、人間関係のアレコレも、どこからどこまでを自分の責任と捉えたら良いのかがわからなくなって、
人生が困難だらけになってしまう。


バウンダリーの感覚が薄いと、
「その出来事の、主体は誰か」を考えずに物事を捉えるために、
何かを訴える時にも主語が省略されがちで、
必死で訴えても適切なサポートを得難くなります(私はそうでした)。


で、
「誰にも理解してもらえない!!」という虚しさにどんどん襲われて、
人も信頼出来なくなり、孤独で、自暴自棄にもなって、自分にも優しくできなくなる。
私にとって一番の弊害(トラブル)はそこでした。



「その出来事の、主体は誰か」に意識を向けて、
「私の立場は?」を考えるだけでも、


線が引きやすくなり、
自分が悩むべきことが限定され
すると対策も解消法も見出しやすくなり、
自分に優しくすることにつながります(^-^)



子育ての中で、親が、子どもに対して
バウンダリーを意識した関わり方をすることで、


子どもも、他者から土足でズカズカと踏み込まれるような言動に対して
自分の気持ちや考えを表現しやすくなり、


そうやってバウンダリーを守られ自分でも守りながら育つ時間が長く持てれば持てるほど、
友達や後輩や部下や子どもに対してバウンダリーを尊重できる人になる。



(*その逆が、バウンダリー感覚の浅さによってどんなトラブルになり得るか? への答えです)



そんなポジティブな循環が理想ではあるけれど、



誰もが理想的な子ども時代を送れるわけではないし、
完璧な親なんていないし、
人はそもそもミスをするものなので、


気づいた時点から、大人になってからでも、


「その出来事の、主体は誰か」に意識を向けて、
「私の立場は?」を考えることで、


多くの変化は起こせます。



多くの人が、学びあえて、許し合えて、素直に語り合える、
そんな環境を持てるといいな。
学べるって、ある意味贅沢なことですね…



ご質問ありがとうございました。


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《2017年:これからの予定》*リンクのない予定についてもお気軽にお問合せください

*1/26 小学校での護身術クラス(金沢市内)
*2/18 「学習会:私を愛せる私になる」(金沢市内)
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by selfdefence | 2017-01-12 15:21 | 質問への回答

ふくだゆいです。自己表現や思考スキル、日本語の講師です。20年以上前のある日、声をあげたら、『蓋』が開いたんです。びっくりでした。蓋の存在にすら気づいていなかったので。以来、困ったときには探すようになりました。どんな声でどんな蓋を外したらいいのだろう?と。基本閉じていてひとりの時間が好きな私でも、声探しに助けが欲しくなることがあります。声探しの場を求める人と繋がれたら嬉しいです。


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