つれづれ

マイケル・サンデル 白熱教室:レイプは他の犯罪よりも重く見るべきか

こんにちは。
女性のためのセルフディフェンスWen-Doの福多唯です。

大晦日になっちゃいました!
先日28日に、マイケル・サンデルさんの「白熱教室」を見ました。

世界各地で行われた6つほどの議論が紹介されました。
その中でも特にWen-Do的に興味深かったのはインドでの議論。

インドで、バスの中で集団レイプを受けて無惨に殺害された女性の事件が
今年は話題になりました。あの事件に触れながらの議論です。


サンデル教授は聴衆に、
《レイプは他の犯罪よりも悪質だと言えるだろうか?》と問いかけます。

まず、悪質だ(と見なさなければならない)と思う人から意見が出ます。

ひとりめの人は、
「性暴力は肉体だけではなく、心も、そして家族をも傷つける。
 そしてその傷は一生癒えることがない。
 レイプは人間の尊厳に対する犯罪だ。
 性暴力を受けた人が『殺されたほうがマシだ』と語るのを私は聞いたことがある。
 命が助かってもそれで良かったと思えないほどの犯罪なのだ。
 被害者は社会からもセカンドレイプを受ける羽目になる。
 非常に悪質な犯罪だと思う」

というようなことをおっしゃいました。
(*テレビを視聴しながらミミズみたいな字でメモをしたのを
 ここに書いているので、正確ではないことを差し引いてください)

また
「大人や社会は、男に女性へのレイプや暴力は絶対ダメだと教える替わりに、
 女性に『身を守れ』と教え込む。
 それは、こんなこと(レイプ被害)が起きたら終わりだと
 女性も、そして親や家族も思い込むことにつながっていく。
 だから二次被害が起こるのだ。
 レイプを『すること』が悪質なのだと皆が考えるようにならなければいけない」
というような意見も出ました。

サンデル教授はそこまでの発言を
《君の言いたいことはこういうことだろうか。
 つまり、
 レイプは被害者本人だけではなく家族も追い詰める犯罪だ。
 ただ同時に、家族も、考えを改めるべきだ、と?》

発言した人は「そうです」と言います。

この発言に反対意見の人はいないだろうか?
レイプは必ずしも他の犯罪より重いとは言えない、と考える人は?の呼びかけに、


女性が手を挙げます。

その女性の発言の要旨はこんな感じでした。

『男尊女卑が背景にあり女性がレイプされるということには同意します。
 ですが例えば、私が手や足を失ったら、私は即座に生活に困ります。
 レイプはそうではありません。
 性を聖域と見るからこそ、それが暴力に用いられるのです。
 性犯罪を他の犯罪より重く見ることは、レイプを助長することになります』

ここでのサンデル教授のまとめと返しが素晴らしいのです。
サンデル教授はこう言いました。

《君の意見はとても重大な指摘を含んでいる。
 つまり、女性への差別を解消されるべきだと君は考えているが、
 そのための方法は他にもある、ということかな。
 性暴行を取り分け重く見るという方法で解消されるのはなく、?》

『そうです。
 性的暴行を特別視することは、
 人間そのものよりも性を重く見ることにつながると思います』


議論はまさに白熱して、上記意見への反対意見(レイプは他の犯罪よりも悪質だと考える意見)がまた別の人から出されます。この人は女性でした。

「男から力づくで襲われることは女性にとってなすすべがありません。
 私は女性で、男性にはかなわず、弱い存在です。
 そういった女性へのレイプは、『女性』という存在そのものへの攻撃です。
 『女性』という存在そのものへの攻撃は
 DV、セクハラ、パワハラなど様々な形があり、
 その視点で考えれば、レイプは単なる肉体的暴力以上のものです。」


それに対してまた反論が出ます。
〔女性の身体を持つのは弱さにつながるという考えには私は反対です。
 人の強さはそれだけで決まるものではありません。
 また、どんな形でも、(レイプでなくても)性的暴行は許されません。
 単に触れられるだけでも、許せないのは同じです〕

女性として弱いと感じると発言した人はすかさず、

「もし私が男から襲われかけたら、私は知恵で逃げるしかありません。
 いくら身体を鍛えても男にはかなわない。
 弱い者を一方的に攻撃するレイプ行為は許せません」


サンデル教授は議論が白熱して的を外れそうになることにブレーキをかけたのか、
《他に、レイプが他の犯罪より重いと思う人の意見は?》とします。

ここで男性が発言します。

「レイプは人間の尊厳を踏みにじる行為だと思います。
 私は妻や娘を敬っています。もし私の家族の女性がレイプをされたら、
 それは、私の尊厳への攻撃だと私は受けとめます」


サンデル教授は
《いいだろう。では、処罰について考えてみよう。
 レイプは他の犯罪より厳しく罰せられるべきだろうか?》と
議論の的を絞るために、刑罰についての議論に聴衆をガイドします
(こういうところが素晴らしく上手いなあ…。
 ライブで、必要最小限の言葉で、こうしたファシリテーションが出来るとは!)

そこで、ある男性が
「厳しく罰せられるべきです。
 殺人には、恨みや、考慮できる背景がありますが、レイプはそうではありません。
 そう考えると、レイプは女性そのものへの差別なのです。
 だから厳しく処するべきです」


すかさずある女性がその発言に(ちょっとイラッとした様子で)意見します。

『法律でレイプを厳しくしたら、それが特別なことだと社会に思わせてしまうことになる。
 さっきから、男性が、女性を大切に思っているとかぼくは女性を護りたいとか言っているけれど、はっきり言って大きなお世話です。
 そうした態度は、女性を神のように扱っているように見せながら、
 実は女性にはなんの権利も与えていない。
 女性の自立を認めていないのです』


サンデル教授は
《こういうことだろうか。
 レイプは女性の尊厳への攻撃である。
 一方、真の男女平等を願うなら、レイプを特別視してはならない、と?》
と、その女性の少々感情の入った発言を、うまくまとめました。


そのサンデル教授のまとめを受けて、年輩女性が落ち着いて静かに発言をしました。

「性的暴行は、年齢や性別を問いません。子どもでも男性でも被害を受けます。
 誰でも被害者になる犯罪であり、皆の尊厳を傷つけています。
 被害者は一生苦しみます」と。

年齢も性別も問わずに性暴行は行われているという重大な指摘をしたその年輩女性に、サンデル教授は尋ねます。

《レイプを特別視せず、他の犯罪と同等に扱うべきだという意見についてはどう思う?》

「それは、理想論だと思います。
 レイプを他の犯罪と同じく扱う日はいずれ必ずやって来るでしょう。
 ですが、今はまだ、多くの女性が傷ついています。
 女性の尊厳を社会が護るよう努力しなければならない段階に私達はいるのです」


  *  *  *  *  *


議論の全容はだいたい上記の通りで、紹介もそこまでになっていました。

結論を出すための議論ではないし、サンデル教授が模範回答に皆を導くための議論の場でもないので、そのままインドの議論は一端幕引きとなったのかもしれません。

人々が、真剣に、自分の言葉で意見を主張する姿が印象的でした。

良い議論は、自分の思考を磨いてくれますね。


「白熱教室」は1月にも放送されます☆ 見るぞ!!


今年も大変お世話になりました。
皆様どうぞ良いお年をお過ごしください。


……………………………………………………………………………………………………
Wen-Do Japanの公式サイト できたてホヤホヤです。
Wen-Doって?にお応えします。

「心の傷と私らしさ」の学習会@金沢市
・2014年1月末〜2月 連続でも興味のあるコマだけでも参加可
……………………………………………………………………………………………………


[PR]
by selfdefence | 2013-12-31 11:35 | つれづれ

女性のためのセルフディフェンスWen-Do Japan代表福多唯です。本当の声をあげたそのとき、世界は変わる☆と信じて、女性の声とエンパワーのための研修・講習・講師養成をしています。


by selfdefence