つれづれ

映画『フライト』と《摂食障害あいうえお辞典》

こんにちは。Wen-Doの福多唯です。

映画の『フライト』をレンタルで見ました。
いやあ〜〜。良かった!! 10点満点だと8点くらい♪(←お前何様だよ!)。
アルコール依存症(と薬物依存症)を抱えるパイロットが飛行機事故を起こします。
事故原因の究明過程で、アルコール摂取について突っ込まれそうになるのですが、
彼の操縦スキルはとても高く、
彼が操縦していたからこそ死傷者数が最小限で済んだ…という事実もあり、
果たして彼は事故の原因としてアルコール摂取や依存症であることで責を問われるのか…?という話です。

特に公聴会のシーンは『上手いっ!!!!!!!』と思いました。
そこは長くなるので後ほど。


ネガティブなことから書くのもナンですが、2点の減点は予告編の作りと、ラスト…。
予告編では、アルコール依存症の嫌疑をかけられたパイロットがどうその苦境を切り抜けるのか?みたいな
サスペンス要素の含まれたパニック映画なの? という感じに見えます。
そう見えるように作られているのだと思います。多分動員のために。
「アルコール依存症のグダグダなパイロットの話」って明かすよりも、
嫌疑をかけられているが真実は? みたいな話だと思わせるほうが…っていうのはわかる(笑)。

ただ、予告編の作りのように、
『見た目や印象を操作して、人の関心を惹くことに長けている』のが「依存症」の特徴のひとつだとしたら、
そういう意味では予告編からまるごと依存症を表現しており、
計算しつくされているパーフェクトな映画だ!!と言えるのかも。


ラストの減点は、あんなにすんなり、しかもあんなに若い世代の子と和解して理解しあうとか、あり得ないと思いました。
アルコールや薬物、ギャンブル依存の場合、
身近な間柄だった人や子どもからは一生恨まれ、縁を切られている人も大勢いるのが現実だと思う…。


とは思ったけど、心に響く良い映画だと私は感じました。上映会とかしたいかも。

映画の評が割れているのが、これまたさらに興味深いです。
「ただのダメ男の映画」「最後まで見れなかった」「不愉快なだけの男がぐちぐちやってるだけ」
というようなレビューを多数見ました。
まあ、そりゃそうだよねf^_^;


私が『フライト』を見て良かったと思えるのは、まさに映画の評のとおり。
「ただのダメ男の映画」に見えたから。それは過剰なところがなかったと思えたから。


依存症のことを描くときってそこのさじ加減が非常に微妙で、
軽すぎると、当事者から見たときに「あんなもんじゃないっつーの!」と思っちゃうし(←だから何様なんだよw)、
ハチャメチャすぎると、その過剰な演出が鼻についたり、
「私達はそういうとこでは暴れないんだってば。もう、わかってないな〜」と思ったり(笑)。


でも、『フライト』では、ああ正しく〜…と共感してしまいました。
主人公のダメ人間っぷりが過不足なくリアル。
脚本も監督もすごいし、演じ切ったデンゼル・ワシントンさんもすごい。


公聴会のシーンでは本当にハラハラしてしまって、私だったらどうする?と、
自分毎のように感じながら見てしまいました。


私があの場面で思いついていた選択肢は3つ。
ただ、結論としては、「人間」でいるためには映画のとおりあれしかなかった、と思います…(涙)。

(以下ネタバレ含む)

ひとつめは、「それは私が意見することではない」、
つまり「わからない」と答えて《誤摩化す》選択肢。

でも、これで時間をほんの数十秒か数分か、稼げたとしても、
遅かれ早かれ破綻するのは瞬時にわかるので言えません。
あの飛行機での機長は自分。
「私が意見することではない」などという言い逃れは通用しない立場です。


それに、飲んだ時点では離陸時の危機を脱して機長として乗客を安心させるために演説をしてました。
まさかあのあと、あんなことになるとは思っていなかった。
「上手くやれていた」はずなのに、予測不可能なことが起きた。
コントロール不能なことが世の中にはあるのだと認めざるをえない状態になっていただろうなと思います。



ふたつめは、「そうだと思う」と、《ウソをつく》選択肢。
(まあ、誤摩化すもウソをつくも同じなんですけど、
 依存症当事者視点で考えると『ウソとごまかしは別物』とこれまたごまかして、使い分ける気がするので、
 ふたつ目の選択肢として挙げてみた)


けど、そう答えて公聴会を乗り切ったとしても、やはりもうダメだと悟ったんだろうな。
あの瞬間に、いわゆる、底をついた状態になったのだろうなと思いました。


ごまかし続けてウソをつき通せるのは、
本人がそれをごまかしや噓だと直視せずに済む間だけです。
本人は「正当な主張」だ、くらいに思っています。

周りにごまかしやウソが通用する間だけ、と言ってもいいのかも。


なぜ、ごまかしや噓をそう認めずに『正当な主張だ』と勘違いするかというと、
多分、身近な人ですら、それに騙されてくれることがあるから。じゃないかな?


こんなにも身近な、長く深い付き合いの人ですら騙せるんだ!!
勘違いしてしまったときに、
誤摩化してウソをつくやり方は、
本人にとって『正当な主張』に成り代わり、
世界中で、一生、誰に対してでも、通用するかのように思えてしまう。




でも、『フライト』の主人公は、唯一の味方だと言って支えてくれていた友人に自分の秘密を知られました。
自分の素を見られてしまって、“あんなことをする場面”まで見られてしまった。


9日間と2時間26分もガマンしてごまかし通したのに、
それを全て台無しにして、友人に秘密を暴露してしまったのは誰でもない自分です。
それはごまかしようがなく、誰のせいにもできない。


それに、あの時主人公は「あの酒を飲んだのは彼女だと思うか?」と聞かれていました。
「あなたが飲んだのか?」や、「あなたは酔っていたか?」に対しては百戦錬磨な主人公も、
「あの酒を飲んだのは彼女だと思うか?」には慣れていなかっただろうなと思います。
だから一瞬、言葉に詰まる。

詰まった自分を自覚してしまうと、
つまり「ここはどう誤摩化せばいいんだ?」と考えている自分が自分で見えてしまうと、
自分がしようとしていることは単なるごまかしで噓なのだと、自分で認めざるを得なくなります。



ごまかし続けて、ウソを重ねて上手く生きるのはもう無理だと、あの瞬間にわかったんだろうな。


*  *  *  *  *  *  

……そんなわけで(?)、突然ですけど、『摂食障害あいうえお辞典』のお知らせです。


摂食障害回復サポートあかりプロジェクトというNPO団体があります。
私も会員になっています。

過去に摂食障害だった人が“リカバリーフレンド”として
今現在摂食障害で苦しむ人をサポートする活動が多様に展開されているその団体で、
このたび、本が出版されました〜☆
【摂食障害あいうえお辞典】です。私は監修に関わらせていただいて、久々に本作りに関われて楽しかった♪
以下は出版社のコスモスライブラリーさんの紹介ページです。
http://www.kosmos-lby.com/books/shosai136.html



摂食障害とは、単に「食べるのが嫌になって食べられない」「過剰に食べてしまう」というよりも、
『食行動にとらわれてしまってそれ以外のことが何もできず、
 日常生活が破綻しかけている状態』
のことで、
映画の『フライト』に出てくるアルコール依存症と同じく依存症(アディクション)のひとつです。


『フライト』を見るまで、【摂食障害あいうえお辞典】って一般的にどう受け止められるのかなあ…と
思っていました。
「めんどくさ〜い。なにこの人たち…」な、不愉快なだけの本に映るかも、とか思って(笑)。
けど、『フライト』と、その映画評を見て、わかりました。
過剰にならず、淡々とリアルに依存症を表現しきったときって、わかりにくいものなんだ!と(笑)


依存症やアディクションに関心があるかたや、
身内や周りに摂食障害の人がいるというかた、ご自身がそうかも…と思っているかたなどに、
ぜひご覧いただきたいなと思っています☆
ご自身で買わなくても、図書館にリクエストを出すとかでも、大歓迎です!!


出版社のコスモスライブラリーさんの紹介ページはこちら。
http://www.kosmos-lby.com/books/shosai136.html

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摂食障害あいうえお辞典

摂食障害あいうえお辞典
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11月17日(日)午後、
《女性に対する暴力をなくす運動週間》Wen-Doスペシャル体験会をします。
詳細はこちらのエントリーにて。
http://wendosd.exblog.jp/21267176/

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by selfdefence | 2013-11-11 19:18 | つれづれ

Wen-Do Japanの福多唯です。今のあなたの「これさえ言えれば…」は何ですか。本当の声をあげたそのとき、世界は変わる。


by selfdefence