女性のためのセルフディフェンスWen-Doの福多唯です。
9月17日、台風の翌日に京都にNVCのワークショップを受けに行きました。
NVCはノン・バイオレント・コミュニケーションで、非暴力でのコミュニケーション。
Wen-Doを何度か主催してくださった東京の現代朗読協会さんとか♪
*2016年追記:後藤さんご夫妻が、日本人初の認定トレーナーになったそうです。ハワイ住まいだけれど…。
このNVC講座は、(2013年)9月に来日したトレーナーが全国各地で手がけたもので、
京都でのテーマは「怒りをしあわせエネルギーに」でした。
http://nvcworkshopsinjapan.blogspot.jp/p/nvc-nvc-nvc-2013911-nvc-https-ssl.html
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NVCでは「ジャッカルのコミュニケーション」と「キリンでのコミュニケーション」として、
従来、私達がやってしまいがちなこと(ジャッカル)と
NVCでのコミュニケーション(キリン)を対比しつつ、NVCの特徴をつかみます。
従来やってしまいがち、というのは、
大雑把に言うと「あいつのせいで…!」。
こうした怒りや悲しみも、それによって起こる対立も、どれも辛いですよね。
そしてなぜそうなるかというと、
正しい/間違っている という白黒思考を軸に私達が物事を考えがちだからだそうです。
今回のNVCトレーナー、ジョリ&ジム・マンスキー夫妻は
選択肢が一つしかないと、人は反射的な応答しかできなくなる。
選択肢がふたつになると、人はジレンマに陥ることがある。
選択肢が3つ以上になってはじめて、多様性や創造性が生まれてくる。
というようなことをおっしゃっていました。
正しい/間違っている ではなくて、
そのときの、その人(私/あなた)の『ニーズ』は何で、
どんな『ニーズ』を満たそうとしてそうした言動になったのか、
ニーズは、下の写真に見られるようなもの(きっともっとあります)。
『ああ、それを大事に思ってたから、あなたはそうしていたんだね』と
誰にとっても共感できる普遍的な価値を持つものです。
☆ ☆ ☆
今回のWSでは「自分に向けられる怒りへの対応」を中心に学びました。
5つの方法があります。
練習のための手順があり、
まず、『自分が過去に言われたことのある、受け入れがたいメッセージや言葉をひとつ書き出す』
ことから始め、練習問題を自分で用意します。
例えば私が用意した『受け入れがたいメッセージ』が
「唯ちゃんは、いつも話し方が偉そうだ」だとします(^^;;
その後のやり方はこうなります。
1、「ジャッカルの耳が外向き」な方法で言い返してみる。
「アンタの感じ方が被害妄想的だからそう思うんでしょ!」
「そうやって人を批判するあなたも相当偉そうだけど?」
「そういう言い方で良好な関係が築けるわけがないでしょ。
私達の関係を台無しにしようとしてるのは私じゃなくてあなたよ」
「どこがどう偉そうなのか具体的に言ってもらわなきゃわかんない」
などなど…です。
ジャッカルは、他者を責めがちなキャラの象徴です。
そして《耳が外向き》というのは、相手にどう返してやろうか?!と、
私達の意識が外向きになっている状態のことを表しています。
つまり、《ジャッカルの耳が外向き》とは、『私は正しい。あなたは間違っている』というメッセージを発すること。
2. 「ジャッカルの耳が内向き」な方法で言い返してみる。
「そうだよね…。私ってすぐそうなっちゃって…ダメなんだよね…」
「やっぱり(>_<、) どうして私は人の上に立とうとしちゃうんだろう」
みたいな。
自分を責めてしまったり、罪悪感でいっぱいになってしまったりするあの感じです。
つまり、《ジャッカルの耳が内向き》とは、『あなたは正しい。私は間違っている』というメッセージを発すること。
*ここでちょっと注意をしておきたいのは、
ここでは言い方や行為だけではなくて人格そのものに意識の焦点が向いてしまっているということです。
コミュニケーションの技法で、
『人格ではなく、事象や行為、事実だけについて述べましょう』というのがあるように、
「私の言い方のここがもっとこうだったら良かったのだろうな」と事実や行為に焦点を当てて自分を省みるモードと
ジャッカルの耳内向きモードの違いを理解することが重要。
3、「キリンの耳が内向き」な方法で言い返してみる。
「そうか。そう言われて、今悲しい気持ちです。
私は、あなたの役に立ちたかっただけなの(貢献のニーズがあるんです)」
みたいな感じです。
(対話はここで終わるわけではないことを前提に、とりあえずセリフはここまでにしました)
キリンはNVCでコミュニケーションするキャラの象徴です。
首があんなにも長いキリンが明晰に考えて行動するには、
脳にしっかり血液を流すための『強い心臓』が必要だ、という例えがなされて、面白かった☆
キリンで、かつ、耳が内向きなので、
自分自身の内側で起こることや感情・ニーズ(要望=満たされることを欲するもの)に焦点を合わせ、それについての気づきを表現します。
4、「キリンの耳が外向き」な方法で言い返してみる。
「もしかしてあなたは、力が発揮しにくく感じていらして、もどかしいのかな?」
「あなたには対等性を大切にしたいお気持ちがあるのでしょうか」
「違ってたら教えてね。もっとリラックスした気楽な雰囲気で話したい、みたいな感じ?」
というような。
キリンで、耳が外向きなので、
相手の感じていることやニーズはもしかしたらこれなのかな? とするやりかたです。
相手が、私(唯ちゃん)の話し方が偉そうだと感じ、そう言って来ている…ということは、
何かもっと言いたいことややりたいことがある=力の発揮のニーズがある のかな、
話す分量や時間や方法などを同じくしたい=対等性や公平・平等のニーズがある のかな、
意見を出しにくい空気を感じている=リラックスや気軽さへのニーズがある のかな
などと推測して、それを相手に尋ねます。
5つめの選択肢は非常にシンプルです。
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自分ひとりで練習をするときは紙に書き、協力者がいるときにはロールプレイで練習します。
ひとりでの練習は最初は難しく感じるかもしれません。
特に、「キリン」には心もとないかんじが伴いがちに。
「これってキリンの耳内向き/外向き の言い方として正しいかなあ?」と
気になっちゃうこともあるかなと思うのですが
(私も今上に例として堂々と書いて解説を添えたものの、
でも、正しいのかなあ?という正誤の軸で自分を測ろうとしてしまうジャッカル的な習慣自体が
私達を苦しくしてしまっているのだとしたら、
そこから自分を解放することを大切に、
正しくないかもしれなくても気にせずに、
練習を重ねていくこと自体に意味がある♪と、私は思い、それでこの記事を書きました。
4のやりかたの、相手のニーズに共感を示すやりかたも、
自分の推測が本当に相手のニーズと一致するかどうか=正しいかどうかなんて、反応がかえってくるまでわかりません。
正しくないかもしれなくても、言ってみるしかない。
これを言ったらさらに怒らせるかも…と、言う前に不安になって、
正しく共感出来ているかな?ってつい思ってしまうけど、
それでも、言ってみるしかないんですよね。
ジョリ&ジム・マンスキー夫妻は
「共感とは、正しく推測することではありません。
相手へのケアの気持ち、深いところでつながろうとする気持ちがあるかどうかが大事」
と言っていました。
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そういうわけで、練習あるのみ!なのだけれど、
正しくやれるかどうかは気にしないとして、順番は大事です。
自分の中のジャッカル部分を認めることからはじめないと、
いきなりキリンにはなれないのです。
だからキリンよりもまずジャッカル。
そして、自分に共感することのほうが、他者への共感よりハードルが低いです。
ここで言うハードルが低いっていうのはやりやすいかどうかではなく、
その共感でぴったりかどうかを確かめようがあるのが自分への共感だ、という意味です。
他者への共感は、どんなに頑張ってみても、
ご本人の返答を聞くまでぴったりかどうかは確認のしようがないので、
『共感』の練習は、自分への共感から始めるほうが腑に落ちやすい、ということになります。
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私がNVCのワークショップに出かけたのは2008年。
Wen-Doでとってもお世話になっている愛知の友人が2泊3日の企画に誘ってくれたのが最初です。
以来、金沢での勉強会に参加したりしながらゆる〜く継続し、
常に正しくニーズをキャッチできているかどうかは、正直言ってよくわからないことのほうが多く、
正しいNVCのやり方(言い方)が実践できているかどうかも、
誰にもチェックしてもらっていないので、わからないのですけど、
でも、自分を見失いかける瞬間に「ニーズは?」と考える一拍が入るだけで、
反射的に何か言ったりやっちゃったりするのとは、結果が大きく変わる。…ような気がする(笑)。
あ、あと、NVCでは、「NVCを学んで、NVCが理想とする対話方法だけを使って
人と平和的なコミュニケーションだけをするようにしましょう」
と言っているわけではありません。(多分)
上記4つの言い返し方と、もうひとつ、『(怒りを向けられても)何も言わない』を含めて、
怒りを向けられたときの対応には選択肢が5つあります。
その中から、どれを選んでも良い。と私は解釈しています。
状況や相手によってはジャッカルも必要かもしれないし?!
ここはWen-Doと同じ。
常に加害者の急所に反撃しましょうとWen-Doで言っているわけではなく、
選択肢を増やして、どれを選ぶかは、自分です。
選べるって大切なことですよね。